この9月、ミシェル・カミロ、チューチョ・バルデス、エディ・パルミエリらジャズピアニストによる来日公演が次々と行われる。彼らは皆ラテンジャズというカテゴリにおいて誰もが知る巨人であると同時に、ドミニカ共和国、キューバ、プエルトリコなど故郷の音楽を背景に持つ、カリブ海のジャズピアニストである。
 米国マーケットのラテン/カリブ海系ジャズに比べると、仏系の音は圧倒的に紹介がされていないという日本の現状もあって、マリオ・カノンジュ(1960-)が来日公演を行うというニュースは不意をつかれる出来事であり、彼を知るカリビアンジャズ・ファンにとっては本年度最大級というべき嬉しいニュースとなった。
 1980年代にマニグア、ウルトラマリン他、様々なラテン/ジャズ/フュージョン系のグループなどに在籍、国際的なアーティストのツアーメンバーなどでも需要が多かった若きピアニスト、マリオ・カノンジュは、80年代後期に結成したズークバンド「サキヨ」の一員として日本で紹介された。タイトなズークの演奏家としての印象があったが故に、ソロデビュー盤 "Retour aux sources" の衝撃は一際のものだった。マルチニークのエッセンスたっぷりのジャズピアノ。近年日本でも復刻された、アラン・ジャン=マリーやマリウス・クルティエなどの先駆者はいるものの、現代感覚にマッチした彼のジャズ&ビギンは、新鮮そのものだった。
 このソロデビュー後、現在までに自らのトリオ〜スモールコンボを率い活動する傍ら、マラヴォワ、ラルフ・タマール、エディット・ルフェール、ジョセリーヌ・ベロアール、トニー・シャスール他、同郷のビギンやズーク歌手のサポートを行い、さらにシックホット、マヌ・ディバンゴ、ワールド・サキソフォン・カルテット、ジノ・シトソン、アンディ・ナレル、ベートヴァ・オバ他、マルチニーク&グアドループ以外、アフリカンジャズ〜ヒップホップ〜カーボヴェルデなどを含めると、とてつもない数のレコーディングで手腕を振るっている。
 アルバム "Rhizome" では、リチャード・ボナやロイ・ハーグローブなどを迎え、ジャズフェスティバルでオラシオ "エル・ネグロ" エルナンデスと共演するなど、米ジャズ・シーンとの関わりも強まりつつ、益々ワールドワイドな活躍をみせている。
 フレンチカリブ/クレオール音楽のファンはもとより、ラテンジャズに興味を持つファンにも、見逃せないライヴと言えそうだ。

●サイト内関連記事
http://www.s-latino.com/review/0208bj.html
http://www.s-latino.com/review/0410bj.html
http://www.s-latino.com/review/0507j.html

●来日メンバー
マリオ・カノンジュ:ピアノ
チャンダー・サージョ:ドラムス
リンレイ・マルト:ベース

2009年9月8日(火)名古屋公演
会場:愛知文化芸術センター小ホール 開演19:00
料金:アリアンス・フランセーズ、愛知県下大学の大学生(要学生証提示)2,000円/以外の方:4,000円
問:愛知文化芸術センター
〒461-8525 名古屋市東区東桜一丁目13番2号
TEL052-971-5511
http://www.aac.pref.aichi.jp/

2009年9月10日(木)東京公演
会場:東京日仏学院ラ・ブラスリー 開場19:00/開演19:30
料金:会員&前売り:2000円/当日&一般:3000円
問:東京日仏学院ラ・ブラスリー
〒162-8415 東京都新宿区市谷船河原町15
TEL 03-5206-2741
http://www.institut.jp/agenda/

定禅寺ストリートジャズフェスティバル(仙台)
2009年9月11日(金)仙台市民図書館で14時からワークショップ/18時より同じ会場でコンサート
2009年9月12日(土)Johzenji Street Jazz Festivalに出演
問:定禅寺ストリートジャズフェスティバル実行委員会事務局
〒980-0803 仙台市青葉区国分町3丁目8-3 新産業ビル304
TEL022-722-7382
http://www.j-streetjazz.com/
Retour aux sources
(1991)
Trait d'union
(1993)
Hommage à Marius Cultier
(1994)
Arômes Caraïbes
(1995)
Chawa
(1997)
Punch en musique
(1999)
Carte Blanche
(2001)
Les plus belles chansons
de Nöel
(2001)
Rhizome
(2004)
Punch en musique Vol.2
(2008)
Live Rhizome Tour
(2008)
来日記念盤・2009年8月23日発売
マリオ・カノンジュ
『リゾーム・ツアー』
(オルターポップ)
http://www.metacompany.jp/
マズルカ、グウォカ…、フレンチカリブの伝統リズムが、豪快かつ優雅に響く。来日メンバーによるソロの応酬と強烈なグルーヴが、ライヴ録音ならではの臨場感で伝えられてくる。オリジナル盤にボーナストラックが追加された日本仕様盤。

前ページに戻る