GABRIELA ANDERS

 ガブリエラ・アンダースというと、ボサノバの“ベレーザ”としてご存知の方も多いに違いない。当然大手CD店を覗いても、彼女のアルバムは大概ボサノバ/ブラジルのコーナーにストックされている。ところが、彼女の声を先んじて耳にしているのはサルサのファンの方だろう。ベレーザのデビュー以前である1990年代初頭は、当時飛ぶ鳥を落とす勢いだった、サルサ界の敏腕プロデューサー、セルジオ・ジョージの隠し刀として、マーク・アンソニー他のレコーディングにコーラスとして加わり、さらに日本向けの企画盤として、現在ロス・ホベネス・デル・バリオのフロントで活躍しているジリアンとのコンビで、昭和歌謡の伝説のツイン“ザ・ピーナッツ”のサルサ・カバー集をリリースしている。
 ガブリエラ・アンダースはアルゼンチン生まれ。音楽への早熟な関心は、現在彼女の数々のレコーディングにも参加している、ジャズ・サックス奏者の父親が影響しているようだ。ハイスクール卒業後ニューヨークへ移住し、カレッジでオーケストレーションを学びながら、徐々にクラブ出演やレコーディングの仕事を手にしていくようになる。
 ベレーザとしてのスターティングはジョビンのカバー集で、2003年にリリースされた『One Note Samba』とともに、高い評価を得ている。そのシルキー・タッチの歌声は彼女の最大の魅力だと思うが、セカンド・アルバム以降で聴かせる非凡な作曲能力は、さらに彼女の存在を大きなものにしている。そしてさらに驚くべきことは、それがボサノバ、スムース・ジャズ、あるいはサルサ、クンビア、ボンバ、レゲエ、ジャズファンク、ボレロ、タンゴであっても、すべて自分のカラーに染め上げてしまうこと。ラテンジャズ・ボーカリストとして確固たる自分流を貫ける類い希な存在なのだ。
 1998年にリリースされた、実質的な自己名義のファースト『Wanting』でスタイリッシュなAORを聴かせ、以降R&Bの要素が強い『Eclectica』、全曲スペイン語オリジナルによるラテン・フレーバーたっぷりの『Latina』、ガブリエラらしいボサノバにバンドネオンをフィーチャーし、ブエノスアイレス風味に仕立て上げた『Last Tango In Rio』と、近年精力的にアルバム制作を行い、創作意欲の充実ぶりをみせている。新宿でモスラのテーマを歌っていた、あのガブリエラ・アンダースが今とても眩しい存在になっている。

October 2004


SALSA PEANUTS/ Salsa Peanuts (1992)
[Toshiba EMI]

Salsa Peanuts ・ La Fuga De Amor ・ La Lluvua En Roma ・ No Te Vuelvas, Por Favor... ・ Oferia De Amor ・ Las Flores Apasionadas ・ Una Sera Di Tokyo (Una Noche De Tokyo) ・ Las Vacasiónes Para Nuestra Amor ・ El Desierto De Pasión ・ Stardust ・ Las Vacasiónes Para Nuestra Amor (Japones Español Mix)

BELEZA/ Tribute to Antonio Carlos Jobim (1995)
[Alfa - Culture Publishing]

Time After Time ・ Agua De Beber ・ A Garota De Ipanema ・ Chega De Saudade ・ One Note Samba ・ This Masquerade ・ Corcovado ・ Desafinado ・ Besame Mucho ・ Wave ・ A Felicidade ・ Doralice ・ Dindi

BELEZA/ Seven Days (1995)
[Alfa - Culture Publishing]

Forever ・ Cold Ice (Spanish) ・ I'll Be Loving You ・ Seven Days ・ The Rose ・ Looking For You ・ Till The End Of Time ・ Miracle Of Love ・ Tu Me Haces Falta ・ Obsession ・ Don't Stop Listening

BELEZA/ Fantasía (1997)
[Alfa]

Every Breath You Take ・ Amapola ・ The Gift ・ Fantasía ・ Watch What Happens ・ Azul Profesia ・ Can't Give You Up ・ Fire Of Love ・ Dear Bruni ・ Noches De Tokio ・ Say It One More Time ・ Spiraling Down ・ Amor ・ Contigo En La Distancia ・ Fuego De Amor

※コズミック・ヴィレッジによる#1,#3リミックス収録のシングルもリリース。

GABRIELA ANDERS/ Wanting (1998)
[Warner Bros.]

Fire Of Love ・ The Girl From Ipanema ・ Wanting ・ Forever ・ You Know What It's Like ・ Seven Days ・ Just An Hour ・ Fantas誕 ・ I'll Be Loving You ・ Love Is So Unkind ・ Feels So Good ・ Brasileira

BELEZA/ One Note Samba (2003)
[Unity]

Agua De Beber ・ One Note Samba ・ This Masquerade ・ Insensates ・ Doralice ・ Aguas De Marco ・ Fascinating Rhythm ・ And I Love Her ・ Here, There And Every Where ・ A Garota De Ipanema ・ Chega De Saudade ・ O Pato ・ Light My Fire ・ Besame Mucho ・ Mediation ・ Mamba De Carnival ・ O Berquino ・ Summer Samba

GABRIELA ANDERS/ Eclectica (2003)
[East River Joint]

Together Again ・ Pearls and Gold ・ Naufragio ・ What My Dreams Are Made Of ・ Fading Light ・ I Wait ・ Socamerengue ・Like U Do

GABRIELA ANDERS/ Latina (2004)
[East River Joint]

Si O No ・ Estas En Mi (Salsa Version) ・ Siempre Así ・ Estas En Mi ・ Reina ・ Esto No Es Amor ・ Tu Lo Sabes Bien ・ Enigma ・ Así Estoy Yo ・ Kalima

GABRIELA ANDERS/ Last Tango In Rio (2004)
[Narada]

You Go To My Head ・ Abracadabra ・ Love Is Here To Stay ・ God Bless The Child ・ Embrace Me ・ The Buenos Aires Mix ・ Body And Soul ・ All Your Love ・ Meant To Be ・ 'Til The End Of Time

GABRIELA ANDERS/ Bossa Beleza (2008)
[Victor Entertainment]

September ・ Aqua De Beber ・ Samba De Verao ・ Samba De Uma Nota So ・ (I Can't Get No) Satisfaction ・ Amapola ・ Dindi ・ Folhas Secas ・ Fantasia ・ Siempre Así ・ Sexy Ride