| GUACO
ベネズエラが生んだ最強のトロピカル・アンサンブル、グアコ。ガイタ、サルサ、ジャズ・ファンクを基調にマンボ、メレンゲ、クンビア、カリプソ、ティンバ…と、様々な音楽を呑み込みながら革新を繰り返してきた彼らの音楽を言葉で伝えることは難しいけれど、彼らの基本姿勢は常に明快だ。それは、彼らが1960年代半ばに学生バンドとしてスタートし、“グアコ”と名乗った時点に始まる。
彼らがキャリアをスタートさせたスリア地方のマラカイボでは“グアコ”は不吉を象徴するものとして嫌われている鳥だという。彼らが限られたシーズンにのみスリアで演奏されるガイタという祝祭音楽を、ポピュラーミュージック・シーンで年中聞くことができる音楽として演奏するため、アバンギャルドなオプションをガイタの伝統に加えてきた行為は、様々な方面から非難の対象になった。このスタート地点の反逆的な姿勢こそグアコを象徴するもので、あえて不吉な鳥の名をバンドに命名した事由とつながっている。
何かのケジメのように、伝統色の強いガイタ・アルバム『GUACO CLASICO』を3タイトル発表した後、グアコが世界戦略を目指し、ローカル色を払拭する大きな転機を迎えた時期がある。
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その時期1995年のヒットアルバム『ARCHIPIELAGO』のオープニングとエンディングには、「LA LECHUZA BLANCA(白いフクロウ)」と題された詩の引用の朗読が収録されていて、大まかに切り取ると「芸術におけるイノベーターは本来反逆的な者で、一般の規範外にいる... そしてどんなに闘いや忍耐を要するものであっても、創造者である芸術家の才能はどのような反対よりも強く、新しい道を切り開いてゆくことになる」といったもの。たとえラヴソングを中心に置こうとも、自分たちは商業主義に左右されない“アーティスト”であることを主張するような内容だ。この頃からベネズエラの現代美術界の芸術家作品をアルバムジャケットに取り上げるようになったのも、同様の現れなのだろう。
チャランガ・アンサンブルにヒントを得た人力度の高いもの、シンセサイザーを多用したエレクトリカルなトロピカル・アルバム、プログレッシブなロックやバイラブレなポップ・アルバム。予定調和を嫌い、時代によって自在に変容を示すグアコ・サウンドの行く先は分からない。しかし彼らのサウンドを貫く反骨精神とスリアの魂だけは、変わらないはずだ。
下記ディスコグラフィー注
※『...ES GUACO (1984)』日本盤タイトルは『これがグアコだ!』(Epic Sony)
※『DEJANDO HUELLA (1988)』『BETANIA (1989)』日本編集盤タイトルは『グアキッシモ!』(Bomba)
※『GUACO 91』日本盤『カリブ魂』(Victor) はジャケットが異なる。
※『COMO ERA Y COMO ES (1999)』『EQUILIBRIO (2000)』『GALOPANDO (2002)』(Beans) 日本盤ライナーは筆者執筆。 |