| RALPH THAMAR
カリブ周辺の名歌手といえば? 好みや世代によって、挙がる名前はまちまちだと思います。ハリー・ベラフォンテなんていう声がすぐに聞こえてきそうですが、プエルトリコ好きにとってはダニエル・サントスとかイスマエル・リベーラとか、キューバ好きはベニ・モレーとか、サルサはセリア・クルースやオスカル・デ・レオンとかですか。
しかし、この歌手を忘れちゃいけません。ラルフ・タマール。フレンチ・カリブの音楽自体、あまり最近は取り上げらないので、時折こんな記事を書いて思い出してもらいましょう。
1952年フォール・ド・フランス生まれ。叔父は島の人気歌手マックス・ランセイ。銀行員として働く傍ら、様々なバンド/楽団で歌い、ピアニストのマリウス・カルティエ(1985没 94年にラルフはマリオ・カノンジュとの合作でマリウス・カルティエへのトリビュートCDをリリースしている。下参照)の元で喉を鍛える。その後、モーリス・マリ・ルイス、ラファエル・リンボーに次ぐ歌手として、マラヴォワに加入。マラヴォワ黄金期の歌手として名を知られることになるが、本格的な歌手活動のために1987年にグループを脱退、活動拠点をパリへと移す。といったところがおおざっぱな経歴です。
カッサヴ、デデ・サン・プリ、ファル・フレット、アクスティック・ズーク、ミシェル・アリボ他、様々なレコーディングやライブでゲスト参加するわけですが、なかでもピアニスト、マリオ・カノンジュ(元サキヨ)のスイングするビギンとの相性は抜群で、お互いのアルバムで幾度となく共演を果たしています。
1998年の奴隷解放150年を記念するアルバム "LA MARSEILLAISE NOIRE" は作曲家ジェラール・ラ・ヴィニの曲を全面に取り上げ、ビギンやマズルカの他、ボンバ、メレンゲ、カリプソと、歴史の深い底でつながるカリビアン・リズムの魅力を伝える、スケールの大きなアルバムとして印象的です。
マルティニークのビンテージ・ラムの持つ芳香な味わいと、ベルベット・タッチの優しい肌触りを思わせる、ラルフ・タマールの歌声。カリビアン・ミュージック界における名歌手中の名歌手です。
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